こんにちは。板前店長の小林です。 私が職人時代に愛用していた包丁たちをご紹介
いたします。
日本は本当にすごい文化国です。
包丁の数を見れば分りますが、食材に合った包
丁を使い分けるのです。これだけの種類を誇る国
(文化)は無いのではと秘かに思っています。
う〜ん。いったい、ぜんぶで何種類あるんだ・・・
それではご紹介します。
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@剥物(むきもの)セットです。
簡単に言うと彫刻セットです。 日本料理では食材を使って何かに見立てる演出 があります。 例えば小さいキュウリを使って鶯(うぐいす)そっくりに したり、人参や大根を使って菊や牡丹(ぼたん)に 見立てたりします。その時に使う道具が「剥き物」です。 |
A鱧切り(はもきり)包丁です。
鱧は夏場になると割烹や料理屋、旅館などで出 てきますね。例えば「鱧寿司、湯引き鱧」などです。 鱧は身の部分に硬い小骨がビッシリあります。その 小骨をこの包丁で身ごと切っていくわけです。 ただし、皮一枚残して切ります。 別名「骨切り包丁」と言います。
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B小出刃包丁です。
小魚を2枚や3枚に下ろしたり、海老の背ワタを取ったり するには小さいのでとても便利です。
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C大出刃(でば)包丁です。
大きな魚を下ろす時に使います。鰤とか鯛とか鰆などな ど。 この出刃は刃渡り一尺(約30cm)ありますので大きな 魚をグイグイ下ろせます。
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D蛸引き(たこひき)包丁です。
これは生蛸の足の吸盤部分を身からはがす時に 使います。1本の蛸足を縦真っ直ぐにまな板に乗せ 包丁の先から根元まで全部を使い、蛸足をグルグル 回しながら吸盤部分を外します。 又、刃渡りが一尺(約30cm)以上あるので、マグロの 塊を適当な大きさに切り分ける(さく取り)のにも使った り、刺身を切るときにも使います。一般では刺身包丁 として広く使われています。
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E柳刃(やなぎば)包丁です。
さしみ包丁です。買った時は刃渡りが一尺(約30cm) ありましたが、使いすぎて今では八寸(約24cm)程度 に縮みました。使っては研いで使っては研いでの 繰り返しが原因です。一番付き合いが長い包丁です。
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F剥物包丁です。
簡単な剥き物を作る時に使用します。栗の皮を剥いた り、里芋を六方(ろっぽう)に剥いたりするときも使用しま す。
※六方剥き(ろっぽうむき) 里芋など、皮を剥くとき正六角形の形になるように剥きます。 剥物の基本です。これを綺麗な形にできないとサクラや梅 桔梗(ききょう)などの花を剥くことはできません。
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G鎌型薄刃(かまがたうすば)包丁です。
野菜を切る包丁です。切っ先で野菜を切り、中央よ り根元の部分で簡単な剥き物に使います。 大根の桂剥きはこの包丁で行います。先の部分が 鎌のように円くなっていることから鎌型と言います。 鎌型は関西型の包丁です。
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H鰻割(うなぎさき)包丁です。
鰻を割く時に使う包丁です。この包丁は名古屋型 と言われる包丁です。 |
I鰻割(うなぎさき)包丁です。
こちらは江戸型と言われる包丁です。後は、京型と 大阪型があります。
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J骨抜(ほねぬき)です。包丁ではありません。
魚を三枚に下ろした後、血合いのところにある小骨 や、鮎などの中骨を抜くときに使います。 私たちは「毛抜き」と呼んでいます。 |
Kマイ箸です。
おせち料理で竹の器を使うため、竹林へ行って 竹を切ってきます。器は節の部分だけを使います。 残りの筒は縦に割って包丁で削って、砥石で磨い て「マイ箸」にします。ここで作った箸は翌年の1年 間使います。 |